2026.3.4
SANKAKU県主催事業

新潟県と株式会社NTT DXパートナーは、2026年3月4日(水)、学びと交流の場「SANKAKU」にて、「市場直結!バイヤー共創型商品開発ピッチイベント」を開催しました。
本イベントは、新潟県が実施する全6回の産学官連携イベントの第5回として開催したもので、大学・学生が開発した商品について、首都圏等の卸・小売バイヤーからリアルな市場視点での評価・助言を受け、商品改良や販路拡大、共同開発の可能性を探ることを目的としています。
大学では、教員や学生が、地域資源に目を向け、地元企業と連携しながら、商品開発を行う取組がありますが、地域資源を付加価値化し商品として継続的に販売していくためには、開発段階から「市場でどう見られるか」「売り場でどう伝わるか」といった視点を取り入れることが重要です。
そこで本イベントでは、大学の商品開発力を“市場の目”で磨くことをテーマに、首都圏等のバイヤーが大学の提案商品に対して直接講評・助言を行い、大学、バイヤー、企業の共創による新たな可能性を探りました。
(1) 日時: 2026年3月4日(水) 14:30-18:00
(2) 場所: 「学びと交流の場 SANKAKU」 新潟市中央区万代3丁目1-1 メディアシップ6階
(3) 主催: 新潟県
(4) 企画・運営: 株式会社NTT DXパートナー
(5) 参加者: 企業11名、高等教育機関 教職員10名、学生3名、自治体・団体7名 計31名
(6) 内容:
①イベントの趣旨説明
②バイヤー講演
登壇者:オーケー株式会社 執行役員 三枝 隆 様
③大学商品発表
登壇者:新潟大学 農学部 教授 山崎 将紀 様
新潟薬科大学 応用生命科学部 教授 松本 均 様
開志専門職大学 事業創造学部 専任講師 庄司 義弘 様
敬和学園大学 人文学部 教授 趙 晤衍 様
④商談・相談会
⑤総評










(1)バイヤーによる講演(オーケー株式会社 執行役員 三枝 隆 様)
講演では、大学・学生発の商品開発事例を踏まえながら、バイヤーの立場から見た「売れる商品づくり」のポイントが語られました。
講演では、商品開発の過程で直面しやすい課題や、市場投入までに乗り越えるべき壁、さらに売り場視点で重視される評価軸について具体的な事例を交えて紹介されました。
特に、「商品の良さをどう伝えるか」「生活者の選択理由をどう設計するか」といった視点の重要性が強調され、参加した大学教員や学生にとって、市場を意識した商品開発の考え方を学ぶ機会となりました。
(2)大学による商品発表(新潟大学、新潟薬科大学、開志専門職大学、敬和学園大学)
新潟県内の4大学が、研究・開発した商品をバイヤーへ提案する商談会が開催されました。産学連携の成果を市場へ届けるため、各大学は熱のこもったプレゼンテーションを行いました。
各発表に対して、バイヤーからは、大学名や地域性だけを訴求点とするのではなく、消費者の利用シーンや価格帯、保存性、パッケージデザインなど、実際の購買行動につながる視点から具体的な助言が寄せられました。これを受け、各大学は、研究・教育の成果を市場で選ばれる商品へと磨き上げるため、ターゲット設定や販路、訴求方法の再整理に向けた検討を行いました。
(3)商談・相談会
【新潟大学】
新潟大学が開発した新型米「RILX(リルエックス)」と日本酒「新雪物語」の販路拡大に向け、議論が交わされました。
バイヤーからは、新型米「RILX」について「食味の差だけで売るのは難しい」との指摘があった一方、暑さに強く安定収穫できる強みを活かし、冷凍弁当などの「加工米」や日本酒の「かけ米」としての活用が提案されました。また、同じく新潟大学が開発した日本酒「新雪物語」については、小容量瓶の特性を活かし、「チョコレートに合う酒」などペアリングを特定してターゲットを絞る戦略や、夏場の炭酸割りといった利用シーンの提示が推奨されました。
これらを受け、大学側は想定外だった「加工米」としての展開に向けた連携先の模索について前向きな姿勢を示しました。あわせて、大学ブランドの強みである品質データをQRコード等で公開し、独自の信頼性とストーリー性でファン層を形成していく方針など、今後の商品展開に関する多様な気づきを得ました。
【新潟薬科大学】
新潟薬科大学からは、大学の知見と学生のアイデアを組み合わせて開発した「ル レクチエ ヨーグルトドリンク」や「雪下にんじんドレッシング」について共有され、プロモーションとして大学名が持つ価値を、いかに市場へ適応させるかが議論の中心となりました。
バイヤーからは、大学名や教員個人名がパッケージに過度に記載されることは、イベント販売以外では店頭展開のハードルになるという現実的な指摘がありました。代わりに推奨されたのは、大学監修という立場を活かした「栄養や成分への言及」でした。
また、定番棚で長く愛されるためには「余計なものを入れないシンプルさ」や「在庫回転率」が不可欠であり、現状の名称では、地域特産品との結びつきが想起しづらいことや、認知向上につながらないことが課題として挙げられました。今後、フレーバー展開などを通じてブランドの骨格を強化することが、販路拡大の鍵と示されました。
これらを受け、大学側は「大学名」を前面に出す手法から大学の専門性を活かした「成分・機能性の裏付け」を前面に出すブランド戦略への転換が必要であるとの受け止めでした。
【開志専門職大学】
開志専門職大学からは、地域ブランド牛(新発田牛)を活用したビーフジャーキー開発の取組が共有され、商談・相談会では、冷凍保存商品や高価格帯商品の設計、供給ロットの小ささ、安定供給体制の構築などについて意見交換が行われました。希少性を活かしたプレミアム戦略と、安定生産・安定供給・安定消費の循環をどのように構築するかが論点となりました。
バイヤーからは、「すぐに買えない」こと自体を価値として打ち出す考え方や、販路が一定程度固まった段階で、安定生産・安定供給に向けた畜産側への働きかけを強めていく方向性が示され、大学側も関係機関と連携しながら今後の展開を検討していくことが確認されました。
【敬和学園大学】
敬和学園大学からは、希少な地域資源である山菜の「あまどころ」を使用したアイスや、「大豆(一人娘)」を活用した味噌開発の取組が共有され、商品の販路拡大に向けた課題が共有されました。現在は地元の店舗やふるさと納税での販売が中心ですが、販売ノウハウの不足が課題となっていました。
バイヤーからは「パッケージデザインによるストーリーテリング」の重要性が指摘されました。「あまどころ」アイスについては、消費者の心理的ハードルを下げるため、未知の素材であることを前提としたデザインの工夫を推奨。また、「大豆(一人娘」」の味噌については、枝豆としての希少性や収穫時期の遅さを逆手に取ったストーリーを構築することによる首都圏市場への参入可能性が示されました。
これらを受け、陳列時の見え方など、メッセージ性を高めるパッケージ改善についてされ、素材の希少性を単なる説明ではなく、消費者に響く「物語」として再定義し、宣伝・販売戦略に繋げていくことなどが話し合われました。
・新潟大学 農学部 教授 山崎 将紀 様
「バイヤーの皆さまから、評価軸や販路要件を踏まえた具体的なアドバイスをいただき、商品の改善点や次に取るべき行動が明確になりました。大学の取組を市場につなげていくうえで、大変有意義な機会だったと感じています。
・敬和学園大学 人文学部 教授 趙 晤衍 様
「バイヤーの方々から直接アドバイスをいただくのは初めての経験で、商品の改善点や訴求の方向性、販売チャネルについて多くの気づきを得ることができました。今後は、こうしたご意見を活かしながら、新商品の開発や販売拡大にもつなげていきたいと考えています。」
・オーケー株式会社 執行役員 グロサリー本部副本部長 三枝 隆 様
「各大学の皆さまの熱量を強く感じることができる貴重な機会でした。産学連携の取組として非常に意義があり、今回の対話が今後の具体的なステップにつながっていくことを期待しています。」
・伊藤忠食品株式会社 第3営業部営業第八部販売第七課 課長 中上新平 様
「生産者・開発者の皆さまの苦労や挑戦を直接うかがうことができ、非常に勉強になりました。商品の改善点や訴求の工夫、市場性について考えるうえで多くの気づきがあり、今後は見積や商談など、具体的な取引にもつなげていければと感じています。」
本イベントで得られたアイデアや知見は、今後も企業と大学による連携活動に活かしていく予定です。今後も「SANKAKU」を拠点としたオフラインのイベント等を開催し、産学官連携による地域創生の機会創出、プロジェクト進行を支援していきます。
※Ambitious NIIGATAホームページ:https://ambitious-niigata.jp/
「学生との共創に興味がある」「自社の技術を活かした新しい取り組みを考えたい」など、少しでも気になる企業・自治体のみなさまは、どうぞお気軽にご相談ください。
「自社の課題をどう学生と結びつければいいかわからない…」
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