New

2026.3.11

【2026年2月19日】「地域インフラの未来を創る 土木建設企業×大学」新潟『SANKAKU』で共創イベントを開催しました

SANKAKU県主催事業

新潟県(知事:花角 英世)と株式会社NTT DXパートナー(代表取締役社長:阿部 隆)は、協働・共創拠点「SANKAKU」において、2026年2月19日(木)に土木建設企業と大学による課題解決マッチングイベントを開催しました。
当日は、県内の土木建設企業である株式会社羽吹組、株式会社堀内組、株式会社小野組の3社が、人材不足や人材育成などの業界課題を発表。参加した大学教員や学生、同業企業とともに課題の本質を深掘りし、各者が持つシーズを共有しながら、具体的な解決策の検討に向けた議論を行いました。
その結果、大学と企業が今後連携を進めるための具体的な話題が生まれたほか、現場での実践につながる示唆も得られ、双方にとって多くの成果が得られる有意義な場となりました。

1.背景

建設業企業が多く所在する新潟県では、共通する人手不足の課題に加え、多様化する地域ニーズに的確に対応するための人材育成が重要な課題となっています。これらの課題解決に向けては、大学が有する技術・教育・経営・国際人材育成等に関する専門性や、学生の視点・意見を活用するなど、多様な関係者との共創による取り組みが求められています。

このような状況を踏まえ、新潟県では、学びと交流の拠点である「SANKAKU」を活用し、企業と大学等が直接対話を行いながら、課題の整理(言語化)および解決策の検討を進めるマッチングイベントを開催しました。

2.「地域インフラの未来を創る 土木建設企業×大学 共創イベント」開催概要

(1)日時: 2026年2月19日(木)14:30-18:00
(2)場所: 「学びと交流の場 SANKAKU」 新潟市中央区万代3丁目1-1 メディアシップ6階
(3)主催: 新潟県
(4)企画・運営: 株式会社NTT DXパートナー
(5)参加者: 企業7名、高等教育機関 教職員9名、学生1名 計17名
(6)内容:
①イベントの趣旨説明
②現場の問題・課題共有
 登壇者:株式会社羽吹組 主任 茂木 浩介 様
     株式会社堀内組 人財・広報部長 小林 繁明 様
     株式会社小野組 常務取締役 須藤 達美 様
③問題・課題の整理、解決策の検討
④課題解決策の検討内容発表・共有

3.実施模様

4. 本イベントにおける議論内容

今回のイベントでは、土木建設業の実態を起点に、研究的視点や外部人材の関わり方など、多様な立場からの意見が交わされ、今後の連携や実践につながる可能性が生まれました。

(1)株式会社 羽吹組
(南魚沼市にて、大正15年創業 / 今年で100年を迎える総合建設企業 / ICT施工・DXに積極的に取り組み、DX認定取得済み)

 今回の議論では、羽吹組が抱える人材確保・育成の課題を出発点として、土木・建設業の魅力をどのように発信していくべきかについて意見交換が行われました。
 羽吹組の茂木様は当初、社内の育成制度の整備や組織としての体制づくりを主課題として位置づけていましたが、大学側・学生との対話を通じ、議論はより本質的な論点へと深まっていきました。
 「DXに積極的に取り組んでいる」と示すだけでは、学生に具体的な業務内容が十分に伝わらないという率直な意見が出されました。これを受け、業界の魅力や日々の働き方を十分に発信できていないことが、採用難の根本的な要因の一つであるとの認識が共有されました。また、自社のDXへの取り組みは、適切に伝えることで「採用面での強み」となり得ることも指摘され、参加者間では活発な意見交換が行われました。
 また、ICT施工など先進的な取り組みを重ねながらも、その成果を社員の賃金向上に結びつけられていないという経営上の難しさも俎上に上がりました。処遇改善へとつなげる道筋をいかに描くかは、DXを推進する企業が共通して直面する構造的課題として、参加者間で深く共有されました。
 議論ののち、茂木様から「明日からではなく、今日からでも取り組む」との発言もあり、その言葉通りに自身の働く姿をSNSや資料で可視化する取り組みに、すぐに着手することを宣言されました。あわせて、学生が参加したくなるインターンシッププログラムの整備や、新潟大学との連携による採用・育成・賃金UPの仕組み構築の検討を具体的に進めることとなり、議論の熱がそのまま行動へとつながる場となりました。

(2)株式会社 堀内組
(加茂市にて、創業176年、建設業をはじめて116年 / 「地域の守り人」として安心、安全をつくる)

 堀内組が抱える人材に関する課題を起点として、「人が成長し続ける組織とはどのようなものか」について意見交換が行われました。
 若い世代に土木・建設業の仕事の意義や魅力が十分に伝わっていない点が入口の課題として共有され、採用段階での発信にとどまらず、小中学生期から地域インフラや建設業への理解を育むなど、長期的な視点での接点づくりの重要性が示されました。
 人材育成の議論では、失敗を前向きに評価しにくい職場風土が若手の挑戦や学習機会を狭めている可能性が論点となりました。失敗が共有されない環境では経験が蓄積されず、結果として人が育たないという構造が浮かび上がり、失敗を許容し、学びへと転換できる環境づくりの必要性が確認されました。
 さらに業務効率化についても、ITやAIの導入そのものではなく、それらを使いこなし、誤りを判断できる人材の育成が不可欠であるとの認識が共有されました。
 本議論を通じて、人材確保・育成・業務効率化はいずれも個別の課題ではなく、「失敗を許容し、学び続けられる環境をいかに構築するか」という共通のテーマにつながっていることが明らかとなり、堀内組の今後の人材戦略に向けた重要な示唆が得られました。

(3)株式会社 小野組
(胎内市にて、1888年創業 / 土木、建築各工事の設計・施工企業)

 今回の議論では、小野組が抱える人材確保・人材育成および生産性向上の課題について、大学との連携を軸に意見が交わされました。
 人材面では、地元大学と協働した長期的なPBL型授業の実施が有効ではないかとの意見が示されました。三条市立大学では必須科目としてインターンシップを導入しており、参加学生の約1割が受入企業へ就職している実績があることが共有されました。具体的には、大学2年次に複数社での短期インターンシップを行い、3年次には1社で数か月にわたるPBLに取り組むことで、学生の企業理解や実践力の向上につながると整理されました。
 また生産性向上については、業務内容を細分化し、一部をアウトソーシングすることが有効ではないかとの意見が出されました。大学生インターンの活用や、学生が開発可能な簡易アプリケーションを委託するなど、段階的な取組の可能性が示されました。さらに、こうしたアウトソーシングを業界団体等のプラットフォームが後押しする仕組みづくりの重要性も指摘されました。
 今後は、小野組が三条市立大学を訪問し、学生派遣の仕組みについて理解を深めることを前向きに検討することとなりました。

5.参加者の声

新潟大学 社会連携推進機構 副機構長 阿部 和久様
 土木建設分野の先生との交流では、同じところに収束してしまう傾向があるため、他分野の先生との交流ができてよかったと感じている。話すメンバーが変わるといろんな形で刺激が入り考えに広がりが出てくる土木建築分野だけでなく他分野でもそうだが、人材への課題が多いという認識を改めて感じた。地域の皆さんと連携を取って、この地域で若い人たちが安心して活躍していける地域作りをしたいきたい。また、今回参加したメンバーとも、今後、一緒に連携していきたい。

株式会社 羽吹組 茂木 浩介様
 参加前は人材育成や経営者の覚悟が課題と認識していたが、議論を通じて土木・建設業の課題や魅力を十分に見える化・発信できていない新たな課題に気づいた。今後は南魚沼の「地域の人事部」で新潟大学と連携することや、業界での自身の立ち位置・日常を発信する資料作成・SNS活用に取り組みたい。合わせて三条市立大学のインターンシップ受け入れに向け、プログラムを検討し応募したいと考えている。

株式会社 堀内組 小林 繁明様
 今回のイベントを通じて、多様な意見を組み合わせることで新たな価値が生まれる可能性を実感することができた。議論では、技術は失敗から学ぶことが多い一方、失敗できる環境がなく人材育成が進みにくいという課題が明確になった。今後は、さらなる学びの機会創出に向け、失敗できる環境の作りのための具体的な方法を模索していきたいと考えている。

株式会社 小野組 須藤 達美様
 建設業界に対して多面的に見れていると思っていたが、本日、他大学・他分野の方々の話を聞けて自分が分かっていなかった新しいことに気付くことができた。人材育成・人材確保について、自身の専門分野の課題として日々考えていたが、なかなかブレイクスルーできていなかったことに対して、他分野の方の意見を聞くことで光が見えてきた。

6.今後の展望

本イベントで得られたアイデアや知見は、今後も企業と大学による連携活動に活かしていく予定です。今後も「SANKAKU」を拠点としたオフラインのイベント等を開催し、産学官連携による地域創生の機会創出、プロジェクト進行を支援していきます。 新潟県も、「Ambitious NIIGATA」と連携し、産学官連携をより一層強め、地域課題の解決に資するべく、2025年度内に計6回マッチングイベントを実施。今回は、第4回目のイベントの開催となります。


「学生との共創に興味がある」「自社の技術を活かした新しい取り組みを考えたい」など、少しでも気になる企業・自治体のみなさまは、どうぞお気軽にご相談ください。
「自社の課題をどう学生と結びつければいいかわからない…」
「産学官連携に興味はあるけれど、何から始めればよいかわからない…」
そんな段階でも大歓迎です。
企業・自治体の課題解決に向け、新潟県内大学とのマッチング・提案までをサポートします。